11/5

 昨日のことを書いている。

 昨日も常連の客に小言を言われた。袋に詰めている最中に、「もうちょっと丁寧に扱ったら?」と言われた。こいつはフォルクスワーゲンに乗ってるらしい。私は何年もかけて二人のオーナーに乗り潰された可愛い可愛いホンダのライフに乗っている。乗ってる車とか年収とか毎日の気苦労とか、本当に死んだら何にも残らないような指標で私たちの世界はこうも違ってくる。

 もうちょっと丁寧に扱ったら?という顔が何回も頭に浮かんだ。完全にフラッシュバックのループにはまった。こんな小説の一行にもならない言葉で、私はひどく傷ついて市内の心療内科を全部検索したりする。それをあの人は知っているだろうか?知っていたとしても言うんだろうな。地獄に言ったらこのセリフが一文字ずつ銃弾になって帰ってくるから、私はその間幸せな時間を過ごすし。

 まあでも、仕事をしていてここまで何かしら言われるのは、こちらの接客も問題があると思う。たしかに握力も強いし女の割りには手も大きいし、前世がドラゴンだったから仕方ない。不器用なのもがさつなのも認める。それを凌駕する鈍感さも本気で洒落にならない。

 中学の時言いたい事を言いまくっていたら、いじめっ子集団から性格が悪いと言っていじめられた。どういうことだよって話なんだけど。だって皆小学生の時私に同じこと散々言ってたじゃん。だから私も言っていい言葉だと思ってたんだよね。ブスとかキモイとか死ねとか。おかげで自分の顔にずっと自身が持てないよ。どんだけ痩せても太っても死にたいと思う。
 散々言われてきたけど、相手からしてもやっぱりそういう言葉を使う理由はあったと思う。私の言葉できつさを感じさせてしまったのはたしかだ。だから私がそのあとどれだけ苦しんだりしても、相手は完璧な加害者じゃない。そもそも私の性格が悪いから当然だ、みたいな雰囲気だった。
 だから今回のフォルクスワーゲンおじも、本当はこいつが正常なんじゃないかって思う。他の人は優しくて何も言わないでいてくれるだけなのかもしれない。それで納得がいくような前科をたくさん持っているし、大体知らないうちに人を傷付けているのが私だ。本当に早く死んだ方が良い。